こんにちは。本日は看護師より生理の仕組みとよくある質問「生理の始まりがわかりません」について皆様にお届けさせていただきます。
まず生理の仕組みからです。女性の脳からは卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで、卵巣内の卵子が入った袋である卵胞が発育します。エストロゲン(E2)の分泌量が増加すると、子宮内膜が増殖して厚くなっていきます。エストロゲンが十分に分泌されると、脳から排卵を促すホルモンである黄体化ホルモン(LH)が急激に分泌されます。黄体化ホルモンに反応して成熟した卵胞の膜は破れて卵子が放出される排卵という現象がおこります。
排卵後の卵胞は黄体に変わり、プロゲステロン(P4)を分泌します。プロゲステロンはエストロゲンによって分厚くなった子宮内膜に働きかけ、受精卵が着床できる環境をつくります。排卵後6-10日目が着床に適した時期となりますが、そこで受精卵が着床しなかった場合は、分厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて血液として身体の外に排出されます。この出血を伴う現象を私たちは「生理」と定義しています。生理周期とは生理の開始日から次の生理の開始日の前日までの日数のことを指します。
生理の開始日と生理周期は治療を行う上で、医療者がしっかり把握しておきたい重要な内容となっています。ではご自身の生理開始日がわかりにくい場合どうすればよいのでしょうか?
当院では基本的には基礎体温が下降し、しっかりと赤い出血があった日を生理開始としていただいております。また基礎体温を測定されていない場合は、出血のみでの判断になります。少量の出血やおりものに混じるくらいの茶色やピンクの出血は生理開始と判断せず、赤い出血を認めた日を生理開始と判断させていただいております。夜間遅くに出血が始まった場合は翌日を生理開始日としてかまいません。生理の開始日に合わせて薬の服用や診察がある場合でも、生理開始日が1日ずれても治療経過には大きく問題ありませんので、慌てずにしっかりとした出血を待ちましょう。
妊娠の可能性があって生理予定日から1週間くらい生理が遅れている場合は、市販の妊娠検査を使用し、ご自身で妊娠判定をお願いしております。
では上記の状態で妊娠検査を行ったにもかかわらず、妊娠検査で反応がなかった場合や妊娠の可能性がなく生理が1週間程度遅れている場合はどうすればいいのでしょうか?
当院ではさらに2週間ほど生理が来るのを待っていただき、それでも生理開始しない場合は業務課にお電話で診察のご予約をお取りいただいております。診察では採血でホルモンの状態と超音波で卵巣と子宮の状態の確認を行っていきます。
ホルモン剤を内服されている場合は、基礎体温の下降と出血開始がずれる場合があります。避妊をしてホルモン剤を服用した後の生理開始が分かりにくい場合については、上記と同様に基礎体温が下降していなくてもしっかり赤い出血があった日を生理開始日と判断していただいております。ホルモン剤の内服終了後3週間程度待機しているにもかかわらず生理が開始しない場合は、上記と同様に業務課にお電話で診察のご予約をお取りいただいております。
長くなりましたがこちらをご覧いただき、今後通院されている皆さまの生理に関する疑問や不安が少しでも軽減されれば嬉しいです。