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精索静脈瘤について

2020.2.21
お知らせ
医局より

ホームページをご覧のみなさまへ

今回は「精索静脈瘤」についてお話させて頂きます。

精索静脈瘤は一般男性の約15%、男性不妊の患者の約40%でみられる、男性不妊の大きな原因の1つです。
静脈瘤とは静脈が瘤(こぶ)のように膨れて血流がうっ滞した状態を指します。精巣に流入した血液は精索内を走行する精巣静脈から流出しているのですが、ここに静脈瘤が形成されると精巣内の血液の流れが滞ります。その結果、精巣の温度が上昇したりや酸化ストレスが増加することで、精子の運動率や濃度の低下のみならず、DNA合成障害による精子の質の低下の原因になってしまいます。

精巣は温度などの周辺環境に敏感であるため、膝上での長時間にわたるノートパソコンの使用が精子に良くないと言われているのもここに理由があることになります。また、第2子男性不妊患者ではその80%に精索静脈瘤が関与しているという報告もあり、精索静脈瘤は進行性に造精機能を低下させることが考えられています。

では診断はどうするのでしょうか。
精索静脈瘤の自覚症状として陰嚢違和感や鈍痛、陰嚢腫大等がありますが比較的乏しいため、診断は触診と視診によって3段階で評価します。軽度ならサプリメントや漢方薬で血流改善を期待しますが、改善が見込めない場合や重度の場合は手術をおすすめしています。
当院では顕微鏡下低位結紮術という術式で行います。局所麻酔を使用するので術中の痛みもほとんどなく、1時間程度で終了する日帰り手術になります。傷口も目立ちません。精子所見は術後3-6ヶ月で改善し、その奏効率は80%程度になります。
精子は精巣内で約70日間かけて作られるため、精巣の環境は精子形成に大きな影響を及ぼしています。もし精索静脈瘤があれば、治療により精巣環境や精子の質が改善し、さらには妊娠率の上昇が期待できます。

男性不妊因子も多くありますが、精索静脈瘤は最も頻度が多いものになります。当院には泌尿器科外来もありますので受診して頂くことも可能です。
診察についてご不明な点あればいつでもスタッフにお申し出ください。

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