IVFなんば・大阪クリニックでの薬剤師の業務について
IVFなんば・大阪クリニックという生殖医療の現場で、 薬剤師がどのような業務を行っているか、ご紹介したいと思います。
薬剤師の方は「培養環境部門」への配属となります。 培養環境部門での主な業務内容は以下の通りです。
1.薬局業務

当クリニックで処方される薬は、おもにホルモン剤・抗生剤・ビタミン剤・漢方薬などです。当クリニックではすべて院内処方ですが、1日の処方箋枚数は平均60枚程度です。それより多い日もあれば、少ない日もあります。おくすり券を持ってこられた患者様に一人一人ゆっくりと薬の作用や飲み方についての服薬指導を行います。基本的にはカウンター越しに説明を行います。体外受精で使用する薬剤についての詳しい説明が聞きたい方、その他の質問がある方などは、別室にてもう一人の薬剤師が対応し説明を行います。他に、消毒薬の調製や、プロゲステロン膣坐薬、バルデナフィル膣坐薬の作成なども行っています。
2.培養室業務
培養室では、薬剤師は培養液の作成、培養環境の管理を行います。体外受精に薬剤師がどのように携わっているか、以下にまとめました。
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培養液
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みなさまからお預かりした卵子・精子を受精・分割させ、無事に胚移植が出来るかどうかは、培養室の環境やスタッフの技術などいろいろな要素が関与してきます。その中でも「培養液」は一番重要と言っても過言ではない要素のうちの一つです。受精卵が体外の環境で生存しそして発育していくためには、浸透圧やPH(酸性・中性・アルカリ性を表すのに用いる単位)さらにイオンの組成を生体内と同等な条件にしなくてはなりません。つまり、胚にとって「体外にいながら体内にいてる」と思ってもらえるような環境を作らなくてはなりません。

しかし、培養液といっても種類はさまざまです。最近では、受精から5日目まで体外培養し「胚盤胞」という状態になったものを移植する「胚盤胞移植」が中心に行われるようになりましたが、この方法の場合は胚の発育状況に合わせて培養液の種類を細かく変更していくことが必要になってきます。そうすることが良好な胚盤胞へと発育させるための重要なポイントとなってきます。その培養液の作成を行ったり、より培養条件を良くするための新しい培養液の検索・提案、リスクマネジメントを行っています。
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クオリティーコントロール
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クオリティーコントロールとは、直訳すると「品質管理」や「品質維持」です。体外受精業務の中で薬剤師は、培養室の培養環境管理を行ったり、培養に使用する水や培養液そして器具の一つ一つに関して徹底的に検査等を行い、常に最高の環境で精子や卵子を培養できるように努力を行っています。それが、クオリティーコントロールであります。主にどんな事を行っているのか簡単にご紹介します。
●インキュベーターの管理●
インキュベーターとは、卵や精子を培養するために体内の環境により近づけた機器です。毎朝、インキュベータ内の温度、二酸化炭素、酸素の濃度をチェックしています。また、定期的にインキュベーターの洗浄を行い、常に清潔な状態で培養が出来るようにするのも私たちの業務です。夜間に温度や二酸化炭素の濃度に変化があった場合には、スタッフの携帯メールに連絡が監視システムも導入しており、24時間患者様の卵子や精子や受精卵を確実にお預かりすることが出来ます。
●体外受精で用いる水●
水には、水道水・純水・高純水・超純水と種類があり、体外受精で用いる水は一番純度の高い「超純水」です。水道の水には、水の他にも目には見えないゴミや細菌、細菌から出る毒素などが含まれています。これらを「超純水装置」と呼ばれるいくつものろ過膜からなる装置を使うことで、微量の不純物を除去することができます。当クリニックではもともと人体投与の目的で市販されている「注射用蒸留水」をこの超純水装置にかけ、さらに純粋な水を作成し体外受精に使用しています。
●微量有機物の測定●
器具や培養液に「エンドトキシン」と呼ばれる微量有機物が存在すると、胚の分割速度に影響が出たり、妊娠率に大きな影響を与えるという報告があります。当クリニックでは「トキシノメーター」という装置を用い、培養液に関して製造番号ごとにエンドトキシンを測定し、当クリニックで定めた基準値を上回るエンドトキシンが検出された場合は、培養に一切使用しないことにしています。
●製造番号ごとの集計●
当クリニックでは培養液の製造番号ごとに、その培養液で培養した胚のグレード・胚発育と妊娠率を集計し、毎週会議で報告し検討を行っています。常に過去半年間のデータと見比べることによって、培養の環境の変化をすぐに分かることが出来ます。胚のグレードに関しては形態不良胚が増えていないか、胚発育に関しては受精後2日目で4分割以上の胚が全体の何割以上を占めているかで評価をしています。
●器具の洗浄と滅菌●
卵と精子を培養するシャーレ等は1回の使用のみの使い捨てを使用していますが、培養液作成に使うビーカーや採卵・胚移植で使用する器具等は、洗浄・滅菌して再利用しています。特殊な洗剤に1日つけ、翌日に洗剤を落とした後、純水に入れ替えて1日、さらに新しい純水に入れ替えて1日つけ、乾燥させ各用途に応じた滅菌を行います。
3.各手術の介助
当クリニックで行う、採卵手術(卵胞より卵子を採取する)や胚移植(受精して分割した胚を、子宮に戻す)における介助も行っています。どれも医師、看護師、胚培養士とともに、チームプレーで行う手術です。初めての時は、緊張されるかもしれませんが、慣れるまで指導させて頂きますのでご安心下さい。
4.感染委員会の運営
医療現場では、常に「感染」ということに敏感になっていなければなりません。それは、患者様への感染はもちろん、スタッフへの感染もあってはならないことです。たとえば、感染症患者の注射針がスタッフに誤って刺さってしまったらどうするか、そういう事故が起こらないためにはどうすれば良いかなどをマニュアル化するのも薬剤師が行っています。職員のインフルエンザワクチンの管理、B型肝炎ワクチンの管理・指導なども行っています。
5.研究
不妊症に関係する学会が、日本・海外にたくさんあります。そういった学会に薬剤師も積極的に参加し、また研究の成果を発表しています。